未熟児子猫『ポン吉』の行方。その二

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引っ張り上げたその手の先にはお世辞にもかわいいとは言えない子猫が。 目ヤニで片方の目が開かず、羽毛のように驚くほど軽い。ありゃりゃである。
一瞬、私の家族の顔が頭に浮かんだ。動物好きの義母もこのところ体調が思わしくない。それに、半年前に17年間家族と苦楽を共にした老猫を失ったばかりで、ようやくそのペットロスから家族が立ち直った矢先である。またぞろ子猫の世話でもなかろう。つれて帰っても育つかどうかの心配より、うちの妻と義母への気遣いが大事なのだ。
「うちの猫ではありませんから、関係ないですから!」
 玄関先でこちらを窺っておられた奥様が悲壮な声で私に叫んでいる。
私にどうしろというのか。奥様の声は、一刻も早くその子猫を自分の視界から消えて欲しい!そんな訴えにも私には思えた。 
当事者間のパワーバランスから言って、私は奥様に完全に負けていたのだ。

「はあ」。私の返事はあまりにも力なく、宙を泳いでいた。

    つづく。

2008年8月30日 19時04分 つぶやき コメント0件 トラックバック0件

未熟児子猫『ポン吉』の行方。

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8月初旬
埼玉県H市 ホームページのお客様より緊急出動のお電話。庭で大量の小さな虫が飛んでおり、足をさされて困っているとのこと。現場に急行し、早速調査に入る。
脚にまとわり付く小さな黒い昆虫を粘着板で捕獲。ルーペで確認すると【ノミ】と判明。庭の奥にある開放型の物置を調べてゆくと、積み重なったダンボール箱の奥から、子猫の鳴き声が。嫌な予感。遠くのほうで奥様がこちらを 覗っている。もしや他にも死んだ子猫がいるかもしれない、、、。しかし、異臭は無い。箱の切れ間から小さな細い子猫の手が私に伸びてきた。不安を振り払うようにエイヤーと小枝のような手を引っ張り上げた。
  続く。

2008年8月27日 17時07分 つぶやき コメント0件 トラックバック0件

 
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