未熟児子猫『ポン吉』の行方。その二
引っ張り上げたその手の先にはお世辞にもかわいいとは言えない子猫が。 目ヤニで片方の目が開かず、羽毛のように驚くほど軽い。ありゃりゃである。
一瞬、私の家族の顔が頭に浮かんだ。動物好きの義母もこのところ体調が思わしくない。それに、半年前に17年間家族と苦楽を共にした老猫を失ったばかりで、ようやくそのペットロスから家族が立ち直った矢先である。またぞろ子猫の世話でもなかろう。つれて帰っても育つかどうかの心配より、うちの妻と義母への気遣いが大事なのだ。
「うちの猫ではありませんから、関係ないですから!」
玄関先でこちらを窺っておられた奥様が悲壮な声で私に叫んでいる。
私にどうしろというのか。奥様の声は、一刻も早くその子猫を自分の視界から消えて欲しい!そんな訴えにも私には思えた。
当事者間のパワーバランスから言って、私は奥様に完全に負けていたのだ。
「はあ」。私の返事はあまりにも力なく、宙を泳いでいた。
つづく。